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こうなると、もう釘はぬけない。
仮に頭の部分が空気や水にふれて
さびてなくなったとしても、釘の
本体はヒノキにぴったりとくっつき、
確実に木をつなぐ役目を果たすことになり。

白鷹さんは形だけではなく、釘のかたさにも
ひみつがあることを発見した。
釘はかたすぎたもやわらかすぎてもいけない
やわらかいとしっかりヒノキにつきささらない
かたすぎると木のせんいや節をつぶしてしまう。
釘がじょうぶでも木をだめにしては、元の子もない。

白鷹さんはかじ職人だから、鉄に炭素を混ぜて
たたくと、かたさを変えられることを知っている。
白鷹さんは炭素を混ぜる分量を少しずつ変えて、
実験してみた。

最初の釘はかたすぎて、打ちこめと節をつきぬけて
しまった。
節がわれて、
その周りの木のせんいまでいためている。
これでは、木材自体が長くはもたない。
次の釘は、少し炭素を減らして作ってみた。
打ちこむと釘はまっすぐささっていく。
とちゅうで節にぶつかった。
すると、この釘はおどろいたことに、
節をわらないように、ぐるりとその
節をよけてまがった。

太い鉄でできた釘は、生き物のように
節をよけたのである。
古代の職人達は、ちゃんとこのことを
知っていたのだ。
白鷹さんは、なっとくのいく釘を完成させるまで、
何本も何本も作り直した。
薬師寺の工事が始まって、釘を宮大工の人たちに
わたすようになってからも、改良を続けた。
そうして、これまで二万四千本もの釘を作って
きた。
それでも、白鷹さんは、もっといい釘を作ろうと
している。
千年の前のかじ職人たちは、歴史に名を残すこともなく
去っていった。
それでもすばらしいことをやりとげた。
この職人たちに、負けるわけにはいかないのだ。

「千年先のことは、わしには分からんよ。
だけど、自分の作ったこの釘が残っていてほしいなあ。
千年先に、もしかじ職人がいて、この釘を見たときに、
おお、こいつもやりやるわいと思ってくれたら
うれしいね。
逆に、ああ千年前のやつは下手くそだと思われるのは
はずかしい。
笑われるのはもっといやだ。
これは職人というものの意地だね。」

白鷹さんは笑った。
千年前の職人たちも、同じことを思っていたのかも
しれない。


内藤誠吾



私も職人のはしくれとして、思うことが
多かった小学校5年生の本でした。
千年先の事を考えての家作りに参加したく
なりました。
今の時代、機械をはじめ多くの材料も
大工さんの仕事をいかに減らすかばかり
考えています。
大工さんばかりか、職人と名の付く人の
仕事を減らす事を考えたメーカーさんが
売り上げを上げています。
、、、

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